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STEVE BLOG 洋服の着方

青山のセレクトショップのオーナーが書くメンズファッションを話題の中心にした日記

足止め 2

 すっかり夜も更けてきました。
ナポリ+1(私)は、相変わらずチェックインカウンター付近でとぐろを巻いていました。
と、いままでメインで私たちの相手をしていた女性職員が帰り支度を始めています。(もう一人はとっくにどこかに消え失せました。)
「チョット、チョット、チョット、どこ行くの???」途方にくれている私たちを残して立ち去ろうとしている彼女は「8時になったから私の仕事は終わり、家にかえるわ。」
こっこんな非常事態に、君には責任感というものがないのか!
我々にきちんとした情報を与えてから帰るのが担当者のつとめではないのか!
我々の有言無言のプレッシャーを大手航空会社の鎧を着た彼女はまったく意に返さずカウンターを後にします。

「私の代わりがだれかがくるわ」そういい残して立ち去った彼女ですが、無人のカウンターでは時々電話がなるばかり・・「コリャダメだな」、市内に引き上げたいのですが翌日どうなるかがまったく分かりません。

15分ほどして男性職員が現れました。
彼は宣言します。「あしたの朝、また来てください。あしたの状況次第です」「あーあ、やっぱり」空港に来て4時間、疲れ果てたわたしはまたガトウィックエクスプレスに乗って市内に戻ることにしました。幸い昨日泊まったホテルに部屋が取れたので、また逆戻りです。ナポリ人の団体はみんな空港のソファで寝るとのこと、やっぱりこういうときは団体だと心強いな、一人の私はつくづく感じます。

次の日の朝、重い荷物を引きずって、ガトウィックエクスプレスにのって再びやってきました。
「おーおまえ、元気か?」
もうすっかり顔見知りとなったナポリの人々とあいさつを交わすと新しい情報がももたらされました。

1.今日ナポリ便が飛ぶかどうかはわかりません。
2.ミラノ便は飛びます。希望の方はミラノ便に乗ってください。ただし、全員の席はありません。

おー素晴らしい申し出。
なんかタイタニック号の2等客室みたいになってきたぞ・・・
みんなざわついています。
さて、どうする?
ミラノまで行き、ミラノからナポリまでのフライトのチケットを自腹で買うか?
もしくは電車に乗って7時間かけてナポリまでいくか?

一人のナポリ人がいいました。
「俺たちはナポリに行きたいのだ!ミラノになんか行きたくないのだ!!」
「ナポリ」「ナポリ」「ナポリ」みんな口々にはやし立てます。
おーなんか面白くなってきたぞ。
わたしもみんなと一緒に合唱です。「ナポリ」「ナポリ」「ナポリ」もう軽いノリのイタリア人丸出しです。
リーダーと思しきおじさんがそのツアーの旗を振りまわし、みんなを盛り上げます。

あきれた航空会社の職員はどこかに行ってしまいました。

結局、何人かはミラノ便に乗り、午後のナポリ便の運行にかけた私を含めた残りの人々は、無事夕方のナポリ便に乗ることができました。
いやーしかし長い2日間でした。
ようやくナポリにたどり着き、最後はナポリ人チームの人々と硬い握手をしてお別れです。

私はといえば疲れとストレスのせいだと思うのですが、思い出し笑いが止まらなくなりました。
以前友達から聞いたくだらないジョークをなぜか急に思い出し、ゲラゲラ笑いが止まらなくなりました。
ナポリ空港の柱の影でひとりで笑い転げる日本人をナポリの家族連れが不思議そうに眺めていました・・・

おわり


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  1. 2010/04/28(水) 18:45:11|
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足止め

 アイスランドの火山の噴火によるヨーロッパ各国の大混乱のニュースを見ていると、何年か前の自分の体験が思い出だされて同情を禁じえません。

 ロンドンからナポリに行く予定で、市内からガトウィックエクスプレスに乗って、ガトウィック空港に向っていた私は、「今日の夜はナポリで何を食べようかな・・」などと、とてものん気な感じでした。空港に着くと明らかになにか変な雰囲気です。フライトの掲示板を見てビックリ!軒並みフライトがキャンセルです。
「さて、何が起こったのでしょう?」
いやーな予感が頭の中を横切ります。この感じは、ミラノでタクシーのストライキにあったとき、ロンドンで電車の中に貴重品を忘れたとき、ミラノのホテルでエレベーターに閉じ込められたとき、自分がピンチに陥ったときに感じるあのいやーな予感です。

こういうときにまず言葉の壁が立ちはだかります。日常のことは何とかなるのですが、不測の事態や口論が必要なときにはつくづく自分の語学力のなさを実感します。
少しでも多くの情報が必要なときにその情報が十分に得られないのです。
要は空港のコンピューターのシステムがダウンしたとのこと。「復旧の見込みは今のところありません。」空港の職員に早口でまくし立てられ、皆さんチェックインカウンターのところで大きな荷物を抱えて呆然としています。周りはイギリス観光から帰るナポリ人だらけ、みんな大げさに天を仰いで嘆き悲しみ、イタリア語でまくし立てています。

さて、困った。
とりあえず現状把握ができて分かったことは、いまできることはなにもない、ということだけです。こういうとき、一人だと荷物を置いて買い物やトイレにも行けないのでとても不便を感じます。
問題は二人いる航空会社の職員も事態をきちんと把握できていないということ。
ひとりはみんなから攻め立てられてかなりヒステリックになっています。もうひとりは取り付く島なし、能面のような冷たい眼差しで笑顔のひとかけらもありません。
ナポリ人の団体は交渉すれば飛行機に乗れるのではないかと考えている節があり、まったくあきらめません。ここはやはり激しいラテンの血がそうさせるのでしょう。ナポリの燃え滾る熱い血とイングランドの冷ややかな「いくら騒いでも私たちにはどうしょうもないわ」眼差しの戦い。おばさん同士は延々とやりあっています。
男たちはただその場外乱闘寸前の言い争いを傍観するだけ、両手を挙げて「もうコリャしようがないね、シニョーレ」的なあきらめムードが漂い、「中村俊輔のフリーキックは何であんなに曲がるんだ!」みたいなまったく関係のない話題も飛び出します。

私はといえばその輪を離れて、最悪のケースに備えて準備に入ります。まず、腹ごしらえ、サンドイッチをパクついてコーヒーを飲んでエキサイトした気分を落ち着けます。
ロンドンにもう一泊した場合の宿泊先、ナポリのホテルのキャンセル、アポイントの変更などを考え始めました。

後編へ続く・・・


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  1. 2010/04/22(木) 15:12:21|
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貧乏症

 私の歩き方のせいなのか、ソックスの右足のかかとがまず始めにやられます。
履く頻度にもよりますが大体シーズンの終わりごろには穴が開いてしまうのです。
そしてここから私の貧乏性が発揮されます。ソックスの破れていない側をチェックするとまだなんともありません。ソックスは原則両足に履くものですから、これはもうペアの片側がダメになってしまったので潔く捨てるべきなのです。

 しかし、私は考えます。ひょっとすると履く靴によっては反対側が先にダメになることもあるぞ、そもそもソックスは右も左もないのではないか、片側だけとっておけば、また新しいペアが組めるかも知れないぞ・・・
ソックスはテニスやバトミントンのペアでありません。本来新しいペアなど作るべきではないのでしょう。しかし、ダメになっていない左側(別に右足に履いても差し支えなし。)を見ていると「おいらまだ元気!ご主人様のためにまだまだ働けます。だから捨てないでぇ~」と語りかけてくるようです。
かくして片足だけのホーズ(長いソックスです。)がどんどん溜まっていきます。

さて、うまく丁度いい相方を見つけて新しいペアとして出直せるかというと、意外とこれが難しい。色の濃さが違ったり、仕入れたシーズンによって微妙に畝の太さが違っていたり、やっと同じ濃さと畝が出てきたかと思うと紺と黒だったりします。

そしてある日、大粛清が始まります。今までの未練と躊躇を断ち切ってかわいそうな片足だけのソックスたちは旅立っていくのです。
さようなら片足だけのソックスたち・・・アリヴェデルチ・・・


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  1. 2010/04/13(火) 18:59:24|
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チップという習慣

 アメリカ滞在中、最も煩わしいものの一つにチップがあります。
ヨーロッパでは、食事のとき以外はあまり気にしなくてもよい習慣ですが、アメリカではあらゆる場面でチップが必要です。
あるアメリカ映画でとても印象的なセリフがありました。
「ウェイトレスはとても大切な職種で、高校を卒業したばかりの女性のかなり大きな受け皿になっているのだ。そして、経営者は安い賃金で彼女らを雇い、われわれみんながチップを払って彼女たちを養っているわけさ。」
というような要旨だったのですが、なるほど と思いました。

 あまりにもお金とモノが直結しすぎているような気がしていたのです。
そして、あいだに入る目に見えないものにお金を払うことは意外に大切なことなのではないか、と考えるようになってきたのです。
買い物に使うお金も単にモノを手に入れる為ではなく、いかに気分良くショッピングができたか、より良いサービスが受けられたかについても支払われるのです。そのあいだにかかるヒト的サービスにお金を払うということは、我々がより人間的な生活をおくる上で必要なのではないかと感じています。
このヒト的なサービスがどんどん省かれていって、今モノはとても安くなっているのですが、なにかそれは消費者の為だけによいことであって、我々の生活の質の向上にとっては良いことではないのでは?

チップのような小額のお金を自分が受けた目に見えないものに対して払う、その多寡は自分で決めることができる、これはなかなかよい習慣のような気がします。いまわれわれは小額のお金を色々な名目で企業や国に払っています。そういう小さいお金は企業や国にではなく個人が個人へ払うべきなのかも知れません。


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  1. 2010/04/07(水) 16:10:52|
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プロフィール

kamakuraya690

Author:kamakuraya690
2005年、8月に青山にメンズインポートウェアのブティックがオープン致しました。
オーナーでバイヤーでもある私が商品の紹介やファッションに関する話題、海外出張での情報などをお知らせいたします。
ぜひご一読ください。

STEVE 石内良樹

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