fc2ブログ

STEVE BLOG 洋服の着方

青山のセレクトショップのオーナーが書くメンズファッションを話題の中心にした日記

死刑台のエレベーター(前編)

 ある夏の日のことでした。日中時間が空いてしまったので、滞在中のミラノのホテルに戻り、部屋でシャワーでも浴びようとホテルのエレベーターに乗るとエレベーターが突然止まりました。私の部屋は3階だったのですがエレベーターは私の押した階を通り過ぎて3.5階位の場所でいやな音を立てて止まりました。その音によって「あっこれは悪いことが起きたな」と感じる音があるもので、それがどんな種類の音であれ往々にしてその予感は当たるものです。
 そのミラノの安ホテルのエレベーターは、いわゆるバードケージ式になっておりホテルの建物の中心を円柱形に伸びています。その周りを階段が取り囲んでおりまたその外側に客室があるという作りになっています。いわゆる金属の網でできているエレベータなのでそれほど圧迫感はなく、下の方に続いている階段も見えます。閉じ込められて思ったのは、昔フランス映画でこんな場面があったな、ということです。殺人を犯した犯人がそのビルのエレベーターに閉じ込められると言うものだったのですが、まず頭に浮かんだのがその映画の主人公が閉じ込められたエレベーターの中でタバコを吸う場面でした。そのころまだ喫煙者であった私は、まずタバコを吸って落ち着こうと一服したのでした。
 ホテルということもあり、すぐに誰かが気がついて騒ぎ出すであろう、従業員が気がつかなくても、滞在しているお客は私だけではないであろうと高をくくっていたのです。
 しかしシーンとしたホテルは、私の息遣い以外何の音もなく状況はまったく変わりません。10分ほど経って私は助けを呼ぶことにしました。さてなんと叫べばよいのでしょうか?とりあえず「ヘルプ ミー」でしょうか。ただ、なにか周りの状況からして「ヘルプ ミー」というのは少し大袈裟な感じがします。
 少し小さい声で練習してみました。「えーヘルプ ミー」
なにか自分がとてつもなく間抜けになったような気がします・・・後編に続く。


IMG_0302_convert_20090211191345.jpg


  1. 2009/02/11(水) 19:19:32|
  2. お薦め記事
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

プロフィール

kamakuraya690

Author:kamakuraya690
2005年、8月に青山にメンズインポートウェアのブティックがオープン致しました。
オーナーでバイヤーでもある私が商品の紹介やファッションに関する話題、海外出張での情報などをお知らせいたします。
ぜひご一読ください。

STEVE 石内良樹

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる